いつもご覧いただきありがとうございます。本日は地方高利回りRCについてです。
一見CFが出て、良さそう!と思うかもしれませんが、立地や築年数などによっては、今後の投資の命運を左右しかねません。
直近でどこの金融機関が融資しているかも含めて、出口戦略を意識しながらチェックする必要があります。
- 表面利回り14%は費用を含まない理論値です。まず「なぜ価格が低いのか」を見ます
- 地方RCは積算も収益価格も売買価格を下回りやすく、銀行が貸せる額が伸びません
- 融資が付かない物件は、買い手が現金で買える人に限られます
- 買う前に「誰が・いくらで・融資付きで買えるか」を仮に描いておきたいところです
「利回り14%超のRCがあるんですが、これは買いでしょうか。」
地方の物件を探されている方から、私もこのご相談をよくいただきます。
ただ、現場で見ていると、高利回りをうたうRCが長いあいだ売れ残っていることは珍しくありません。
問題は数字そのものではないかと思います。その数字が、どういう構造で成立しているかです。
もうひとつ、以前から気になっているのが築年です。築年が進むと融資が引っ張りにくくなります。それに、エレベーターのない4階建ては賃貸付けそのものが厳しくなる、、、ここが重なると、次の買い手が動けなくなります。
本日は、なぜ売れないのかを構造から見ていきます。
なぜ表面利回り14%超でも買い手がつかないのか
まずは、その数字の中身からです。
表面利回り(グロス利回り)は「年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100」で出る数字です。管理費・修繕費・空室損・税金などを含まない、最大値に近い理論値かと思います。
そして地方RCの高利回り物件の多くは、「価格が低く設定されている」から高利回りになっています。つまり、他の要因で市場価格が抑えられているサインです。
人口減少が進む地方都市では、いまの賃料が将来も同じ水準で続く保証はありません。高い表面利回りが「現状の一時的な数字」にとどまるリスクがあります。
さらに大事なのは、利回りが高い物件が「買い手に選ばれない理由」のほうです。融資が付かない物件では、買い手が現金で買える人に限られます。そうなると売却のハードルは一気に上がります。

銀行の積算評価が収益価格を下回ると何が起きるのか
では、なぜ融資が伸びないのか。
銀行が担保として物件を評価するとき、積算評価(原価法)と収益還元法(収益価格)の2つの軸を使います。
積算評価は、RCの法定耐用年数47年をベースに「土地評価+建物の残存価値」で計算します。地方では土地の路線価・公示価格が都市部より低いため、積算に占める土地部分の金額も小さくなりがちです。
収益価格は「純収益 ÷ 還元利回り」で出します。還元利回りはエリアの特性で高く設定されることがあり、地方その他都市では9.5%程度とされるケースもあります。還元利回りが高いエリアほど、同じ家賃収入でも収益価格は低く出ます。
結果として、積算も収益価格も売買価格を下回る。すると銀行は「一部しか貸せない」という状況になります。買い手は自己資金を大量に用意しないと買えません。

地方RCで「融資が出ないから売れない」構造をどう読むか
そして、ここがいちばん効いてきます。
地方RCの売却が難航する最大の理由のひとつが、「買主側に融資が付かない」という構造です。売り手が手放したくても、買い手候補が資金を調達できなければ取引は成立しません。
新たな融資を組むのが難しく、売ろうにもローンのつきにくい地方の築古物件には買い手がいない。こういう状態になりがちです。
「今は満室だから問題ない」と判断して買い、数年後に売ろうとしたときに買い手が見つからない。このケースは実際にあります。
いまの稼働率や収益性が良好でも、「その物件を買える人が市場にどれだけいるか」という流動性の問題は、別の軸で存在します。買主の融資から逆算して出口を設計する考え方は買主融資から逆算する保有期間設計にまとめていますので、あわせてご覧ください。
このように一筋縄ではいかないのが地方のRCです。とは言え、高利回りで賃貸需要もある良い物件もありますので、全部が全部というわけではない点はご留意ください。
また、本記事で述べたこと以外にも、築古RCは木造やS造と比べて大規模修繕の費用が高額になりやすく、修繕の意思決定も容易ではないケースがあります。その辺りも総合的に見て、投資をご検討いただければ幸いです。
高利回りの地方RCを買うときは、いまの収益性だけでなく、売るときに誰が・どんな条件で・いくらで買えるかを先に仮置きしておく。これが地方RC特有のリスクを管理する基本かと思います。
売却の絵が描けない物件は、保有中の収益がどれだけ良くても、最後は値引き売却か塩漬けになりかねません。
数字が良く見えるときほど、出口から逆に見てみるのはいかがでしょうか。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・税務助言・投資助言ではありません。制度や税制、金利、各種条件は変更される可能性があるため、最新情報は公的機関・金融機関・専門家にご確認ください。
引用元:
- [1] 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」
- [2] 幻冬舎ゴールドオンライン「地方RC造物件の投資効率が悪いといえる理由」
- [3] 楽待「物件評価、積算vs収益還元」
- [4] ハーキュリーズ・リアルティ「不動産の価格根拠を知っていますか?銀行担保評価のやり方とは」
- [5] 不動産投資の塾「業者の塾!何も考えずに地方中古RCを買ってしまった悲劇」
この記事は、櫻井洸太が執筆しています。建築・テレビ業界・営業の経験で得たフットワークの軽さを武器に、収益不動産のこれからをご提案していきます。
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