こんにちは。BANYU櫻井です。
今日は「管理費」についてのお話です。大家業をされる際に切っても切れない管理費。そんな管理費やそれに付随する経費についてご説明します。
- 「管理費5%」は料率の数字です。中身は契約書と精算明細を並べないと見えません
- 水道代とADは、合理的なケースと説明が曖昧なケースが混ざっています
- 管理費が見えないとNOIが下がり、DSCR(返済に対する余裕)を通じて融資の評価にも効きます
- 確認は書面で、費目を特定して。口頭で聞くと記録が残りません
「この物件、稼働の資料が出てこないんです。」
こういうお話を伺うことがあります。
資料が出てこないと、こちらも判断できません。同じことが、保有中の管理費でも起きています。
「管理費5%」とだけ伝えられて、何が入っているのか分からないまま毎月引かれている。実際、そういうオーナー様は少なくないかと思います。
不透明な上乗せは、大きな額ではなくても静かに積み上がります。そして手残りを削り、最後は融資の評価にまで届きます。
今日は、契約書と精算明細をどう突き合わせるかをお話しします。
「管理費5%」の中に何が含まれているか
まずは、中身の話からです。
「管理費5%」はあくまで委託料率の数字です。その中身は、管理会社・契約内容・物件タイプによって大きく変わります。
一般的には、集金・送金・入居者対応・巡回点検・入退去の立会・原状回復の手配などが含まれます。ただ、どこまでが定額の委託業務で、どこからが別途精算になるのかは契約次第です。
ここで見えにくくなるのが、「一式」「雑費」「対応費」といった名目です。費目がまとめられていると、内訳が追えません。
やることはシンプルかと思います。まず自分の契約書を出して、業務の一覧と月次の精算書の費目を横に並べる。ここが最初の一歩です。

水道代・AD・空室補填費をどう見抜くか
次に、見えにくくなりやすい費目です。
水道代。 一棟物件では親メーター1つから一括で請求され、各戸への振り分けは私設メーターの検針、均等割り、定額の組み込みなど様々です。
問題が起きやすいのは、入居者への水道代の請求額と、実際に水道局へ支払っている額の差分が、精算書に出てこないまま手残りに影響しているパターンです。「水道代込み」の利回り計算になっているはずが、精算では差額が見えない構造になっていることがあります。
AD(広告料)。 仲介手数料とは別に、客付けのインセンティブとしてオーナーが負担する費用です。空室対策としては一定の合理性があるかと思います。
問題になりやすいのは、「いつ・どの判断でADが設定されたか」の説明なしに精算書へ計上されているケースです。AD設定はオーナーの承諾のもとで行うのが本来の姿です。事後的に精算書で気づくような運用になっている場合は、契約書の代理権限の範囲を確かめたいところです。
管理費の透明化が、なぜ融資評価に効くのか
そして、ここが一番効いてくるところです。
理由はDSCRの計算式にあります。DSCRは「年間NOI ÷ 年間借入返済額」で出します。NOIは、家賃収入から空室損・管理費・修繕費・固定資産税・保険料などを差し引いた数字です。
管理関連の費用が大きくなればNOIは小さくなり、DSCRも下がります。
精算書の費目が整理されていると、「実際にいくらの収入が、どれだけの費用でカバーされているか」を書面で説明できます。逆に不明瞭な費目が多いと、銀行側は実質の収入を保守的に見ます。
つまり、管理費の透明化は節約の話だけではありません。次に借りるときの材料をつくる話でもあるかと思います。
なお、確かめた結果として管理会社を替えるかどうかの判断と手順は「管理会社を変える」決断にまとめていますので、あわせてご覧ください。

過去には管理会社との契約で共益費も管理会社が得ている、、なども目の当たりにしたことがあります。
妥当な管理費、管理の質、管理会社解約の可否、その他の経費など様々な観点から選ばれることをお勧めします。
不明な点は、書面で費目を特定して管理会社に確かめる。これだと双方に記録が残り、問題の所在がはっきりします。
管理会社の変更には、引継ぎ費用・入居者への通知・業務の移行といった実務のコストが伴います。変更の前に費用対効果を確かめたうえで決めるのがよいのではないでしょうか。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・税務助言・投資助言ではありません。制度や税制、金利、各種条件は変更される可能性があるため、最新情報は公的機関・金融機関・専門家にご確認ください。
引用元:
- [1] 国土交通省「『賃貸住宅標準管理委託契約書』策定について(平成30年3月30日)」
- [2] 国土交通省「マンション標準管理委託契約書(最終改訂:令和5年9月)」
- [3] OwnersBook「DSCRとは?DSCRの計算式や目安水準を解説」
- [4] 株式会社アソーク「賃貸管理契約書 完全ガイド」
この記事は、櫻井洸太が執筆しています。建築・テレビ業界・営業の経験で得たフットワークの軽さを武器に、収益不動産のこれからをご提案していきます。
執筆者紹介はこちら



